この劇場を訪れるのは『赤毛のアン アンの青春 完全版』を観た1998年の夏以来だから、なんと約15年ぶり。地下への階段を右廻りに下るとすぐチケット売り場があるのは昔と変わっていない。一挙に時が巡る。ロビーも劇場内も昔より多少小奇麗になった感はあるが、この界隈の地上の街並みも含め、昭和を彷彿とさせる懐かしい雰囲気のレトロ感が堪らない。
シネコンで上映される大衆受けする映画ばかりが映画じゃない。
うらぶれた場末のちっぽけな単館上映の映画館でも、商業主義的に日々大量放出されるシネコンでは決して観ることができない数々の佳作が、そして何より映画をこよなく愛する人たちの心根が、古き良き時代から脈々とスクリーンに投影されているのだ。
彼女との出会いは、劇場で観た『スワロウテイル』が初めて。あのときのあの大胆な少女がこんなにも美しくなって...。
だから『きょうのできごと a day on the planet』で再会したときも、なんて可愛いんだろうと思ったが、劇場を後にしてなおしばらくもあのときの彼女とは気づかなかった。
決して主演作が多いわけではないが、彼女の存在感はあえて言及するまでもない。そんな思い入れのある彼女だから、久々の主演作は見逃せない。
古き良き伝統を受け継ぐ島。
こういったシーンは恐らく日本各地のそこここで見られるだろう。
なぜなら日本自体が、伝統の島なのだから。
そして、彼女たちのような女性の存在がその伝統を陰ながら支えている。
なんて美しい日本の原風景だろう...。
シネコンの数あるスクリーンのたった一つでも、こういった映画を上映するだけの心根がないものなのか...。
次はもうすぐ公開ですね!
『横道世之介』でお逢いしましょう。